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【記事公開】コラム Vol.7──自殺報道をどう伝えるか~記者から対策現場に移った私が考えたこと「地域密着ニュース」が、ネット配信で変質する時
「Yahoo!ニュース エキスパート」で2026年8月3日に公開した記事を転載しています。
私が所属する「いのち支える自殺対策推進センター(JSCP)」では日々の自殺報道をモニタリングしていますが、近年のネット記事で頻繁に目にするのが、地方発の鉄道での自殺に関するニュースです。これに比べると頻度は少ないものの、「身元不明のご遺体発見」に関するニュースも印象に残ります。
新聞社の地方支局で記者として勤務していた頃、こうした情報は全国メディアが詳報しない一方で、地方メディアは網羅的に丁寧に報じていました。
鉄道での事故は市民の足である公共交通機関への影響等を伝え、身元不明のご遺体に関する記事は身元特定のためという目的があり、紙面では多くの場合、1段見出しのコンパクトな「ベタ記事」として扱われていました。
クリック重視の構造が生む「ネット上の文脈変化」
しかし近年、ニュースが伝えられ、読まれる中心的な場がネットへ移行し 、これらの「意味合い」の変容を感じます。
WHO自殺報道ガイドラインの浸透などで、見出しに「自殺」という言葉を含む表記が減った一方、故人の年齢や性別、亡くなった状況、目撃証言などを詰め込んだ「長文でストーリー調の見出し」が目を引くようになりました。これはページビュー(PV)獲得の仕掛けとしても機能します。
こうしたセンセーショナルな見出しの記事が「アクセスランキング」上位に表示されることは珍しくなく、一度見出しをクリックすると類似ニュースがリコメンド表示され、手元のスマホやPCの画面を埋めていきます。
本来は地域密着の地道な報道が、ネット上ではセンセーショナルなコンテンツとして「消費」されているように感じます。
均等化された画面と、当事者たちの「切実な声」
新聞は掲載面や見出しの大きさでニュースを「重みづけ」しますが、ネット空間では均等化されます。そのため紙面では目立たない小さな記事も、センセーショナルな見出しと共に、強いインパクトを持って迫ってきます。
JSCPには「死にたい気持ちを必死にこらえながら生活しているのに、こうした記事を見ると背中を押されるようで辛い」といった、切実な声が寄せられることがあります。
「見たくないなら、見なければいい」と思われがちですが、当事者の注意や回避努力だけで防ぐのは極めて困難といえます。心理学や精神医学の研究でも、希死念慮を抱える人や自殺未遂の経験がある人ほど、無意識に自殺に関する情報に吸い寄せられてしまう「注意バイアス」の傾向が明らかになっているからです。
均等化された情報が「地域」を越えて拡散するネット空間では、センセーショナルな見出しや自動リコメンドによって、リスクを抱える人々がこうした情報に必要以上に曝露されてしまう構造があります。
見出しに「自殺」という言葉を含めないだけでなく、配信や表示の新たな配慮も問われているのではないでしょうか。
【文・山寺香】
■【コラム Vol.1】「自殺報道に答えはない」
■【コラム Vol.2】「飛び降り」「飛び込み」は‟普通の言葉”?
■【コラム Vol.3】「ウェルテル効果」って、こんなに影響があるの!?
■【コラム Vol.4】海外の取組に学ぶ―「押しつけ」でないガイドラインの形
■【コラム Vol.5】「メディアとのパートナーシップが生んだ劇的効果」
■【コラム Vol.6】「ネットメディアが守らないなら無意味」は本当か?
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◆記事を読んでつらい気持ちになったら。気持ちを落ち着ける方法や相談窓口などを紹介しています。
「こころのオンライン避難所」https://jscp.or.jp/lp/selfcare/
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◆生きるのがしんどいと感じているこども・若者向けの Web空間で、安心して存在できるオンライン上の居場所。絵本作家のヨシタケシンスケさんが全面協力。
「かくれてしまえばいいのです」https://kakurega.lifelink.or.jp/
◆つらい気持ちを相談できる場所があります。
〈電話やSNSによる相談窓口〉
・#いのちSOS(電話相談)https://www.lifelink.or.jp/inochisos/
・チャイルドライン(電話相談など)https://childline.or.jp/
・生きづらびっと(SNS相談)https://yorisoi-chat.jp/
・あなたのいばしょ(SNS相談)https://talkme.jp/
・こころのほっとチャット(SNS相談)https://www.npo-tms.or.jp/service/sns.html
・10代20代の女の子専用LINE(SNS相談)https://page.line.me/ahl0608p?openQrModal=true
〈相談窓口をまとめたページ〉
・厚生労働省 まもろうよこころ https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/






