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【記事公開】コラム Vol.6──自殺報道をどう伝えるか~記者から対策現場に移った私が考えたこと「ネットメディアが守らないなら無意味」は本当か?
「Yahoo!ニュース エキスパート」で2026年6月4日に公開した記事を転載しています。
「マスメディアがいくら自殺報道ガイドラインに配慮しても、ネットメディアや週刊誌が守らなければ意味がないのではないか」
私が勤務する一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」(JSCP)が開催するメディア向けの「自殺報道のあり方を考える勉強会」では、参加者からこのような声をいただくことが少なくありません。
公益財団法人「新聞通信調査会」の「メディアに関する全国世論調査」(2025年)でも、毎日のニュース接触メディアとしてインターネット(46.5%)が、民放テレビ(46.1%)やNHKテレビ(35.8%)、新聞(33.4%)を抑えて最多となるなど、ネットが主流となった今、現場の記者らがそのように感じるのも無理はありません。
デジタル時代でも変わらない「情報の起点」
しかし、情報があふれる現代だからこそ、実は新聞やテレビといったマスメディアの影響力が極めて大きくなっている側面もあります。
新聞記者からJSCPに転職して間もなかった当時、私はその理由を明確に言語化できていませんでした。しかし、2021年6月の第1回勉強会にご登壇いただいたジャーナリストの古田大輔さんは、その構造を非常に分かりやすく解説してくださいました。
古田さんは報道の流れについて、警察が発生を覚知した事案は、まずマスメディアが加盟する警察記者クラブに発表され、担当記者が記事化して速報すると説明。その上で、「警察からの情報を直接得ることができるのは記者クラブに加盟できるマスメディアだけであり、マスメディアが事件(自殺)報道の起点になっている」と指摘しました。
起点での配慮が大きな「防波堤」に
この速報記事がネット空間に配信されると、ニュースプラットフォームやSNSを通して広まり、時には噂や憶測が加えられ、爆発的に拡散します。
自殺報道の場合は、その後、週刊誌のWebメディアやネットメディア、「まとめサイト」等がそれを基に「手段」や「動機」などの詳細を深掘りすることで、ウェルテル効果(報道の影響で自殺者数が増える現象)を招くリスクのある情報が長期にわたり拡散を続けた実例もありました。
ニュースをネットで目にする割合が増えても、警察からの一次情報を扱えるのはマスメディアであるという状況は今も変わりません。だからこそ、冒頭の疑問に対する答えは明確で、マスメディアの配慮は決して無意味ではありません。マスメディアが、自殺報道のリスクを理解し配慮することは、ウェルテル効果の大きな防波堤になります。
改めて問われる「原点」
もちろん、ウェルテル効果を招きかねない情報の拡散はマスメディアだけの責任ではありません。スマートフォンの普及などにより、市民一人ひとりがメディアとなり、マスメディア以外から一次情報がもたらされるケースも多くなってきています。またそれを拡散するインフルエンサーの影響力は非常に大きいものがあります。
だからこそJSCPでは、勉強会の対象をニュース・プラットフォーマーやネットメディア、SNS事業者などへも広げてきました。今後は、個人で発信する方々へもWHO自殺報道ガイドラインをさらに周知していくことも必要でしょう。
デジタル時代だからこそ、「何のために報じるのか」という原点に立ち返り、情報がネット上でどう波及していくかまで想像して報じることが、より重要になっているのではないでしょうか。
■【コラム Vol.1】「自殺報道に答えはない」
■【コラム Vol.2】「飛び降り」「飛び込み」は‟普通の言葉”?
■【コラム Vol.3】「ウェルテル効果」って、こんなに影響があるの!?
■【コラム Vol.4】海外の取り組みに学ぶ―「押しつけ」でないガイドラインの形
■【コラム Vol.5】「メディアとのパートナーシップが生んだ劇的効果」
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◆記事を読んでつらい気持ちになったら。気持ちを落ち着ける方法や相談窓口などを紹介しています。
「こころのオンライン避難所」https://jscp.or.jp/lp/selfcare/
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<相談窓口をまとめたページ>
・厚生労働省 まもろうよこころ https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/






