研修・会議
【開催レポート】令和5年度 地域における自殺未遂者支援事業研修
2023年11月21日
写真上段左から大高靖史氏、増田浩子氏、識名友花氏、仲里拓氏臣氏
下段左からJSCPの与儀恵子、大内衆衛、森野嘉郎
研修プログラム
JSCPは2023年10月19日(木)、自治体職員を対象に「令和5年度 地域における自殺未遂者支援事業研修」をオンラインで開催しました。当日は、43都道府県から400名以上が参加しました。
はじめに、JSCP自殺未遂者支援室長の大内衆衛より、自殺の現状と自殺未遂者支援に関する取り組みの全体像について説明しました。
続いて、日本医科大学病院精神科の精神保健福祉士である大髙靖史氏から、救急医療機関に搬送される自殺未遂者の実態ならびに自治体との連携について、また横須賀市保健所の保健師である増田浩子氏からは、医療機関と連携しての自殺未遂者に対する個別支援について、それぞれお話しいただきました。
さらに、沖縄県石垣市において自殺対策担当部署と消防署が連携して取り組んでいる、未遂者に関する情報の共有と支援に繋げるための「共有フォルダ」の活用事例について、石垣市障がい福祉課の保健師である識名友花氏と石垣市消防署の救命救急士である仲里拓臣氏よりご報告いただきました。
パネルディスカッション
各講師には、事前アンケートに加え研修当日も多くの質問が寄せられました。
まず、「自殺未遂者の支援にあたっては本人同意を得る必要があるが、同意が得られない場合の個人情報の扱いが課題である」という意見が多く出され、自治体が自殺未遂者支援に取り組む上で、本人からの同意の取得と個人情報の扱いが大きな課題となっている現状が浮き彫りになりました。そこで、自殺対策と個人情報保護について、JSCP職員で弁護士の森野嘉郎が説明しました。
さらに、自殺未遂者の情報を把握するとともに、関係機関間で共有するための手段として、石垣市の取り組みに高い関心が寄せられました。今後、関係機関同士の情報共有の促進と、それを通じた自殺未遂者支援の取り組みが広がることが期待されます。
研修の評価と課題
事後アンケートに回答のあった257自治体のうち、現時点で自殺未遂者支援事業を実施していないのは174自治体でした。このうち、「今後の実施を予定している」、または「実施を検討中」と答えたのは148自治体でした。
また、「本人の同意がない場合での関係機関との連携について、具体的に知ることができた」「個人情報の取り扱いに関する説明、特に医療機関との連携のあり方、支援終了に関する考え方が参考になった」「支援終了後のフォロー体制のシステム構築を検討する必要があると感じている」などの声が寄せられました。
JSCPでは、今後も自治体が医療機関と連携して自殺未遂者支援に取り組めるよう、様々な情報発信に努めてまいります。
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