研修・会議

「第2回 地域における自殺未遂者支援事業研修」を開催しました

2021年11月15日

JSCPは令和3年929日(水)、自治体の自殺対策担当職員・関係者を対象とした「第2回 地域における自殺未遂者支援事業研修」をオンラインで開催し、約400人が参加しました。(式次第はこちら

4回シリーズの本研修は、自殺対策の重点課題でありながら全国的な広がりには至っていない「地域における自殺未遂者支援」の実施を後押しするため、各自治体が来年度にも自殺未遂者支援事業を開始するために必要な、ノウハウや先行事例などを共有することを目的としています。第2回目の今回は、茨城県稲敷市と、東京都江戸川区の担当者より、事業についてご報告をいただきました。

人口約38000人の稲敷市では、自殺未遂者と最初に接点を持つ警察や消防、医療機関と連携し、自殺未遂者やその家族の同意が得られた場合に市から未遂者または家族に連絡し、自宅を訪問するなどして困りごとの相談に乗る事業を行っています。事業の立ち上げに携わった稲敷市社会福祉課の橋本大河氏は講演で、「人口が少ない自治体がどのようにして連携体制を作ったのか」「連携体制を作るポイントやコツ」などについて、ご自身が直面した課題やそれらを乗り越えた体験談を交えて解説しました。続いて、同市と連携するいなほ消防署救急課の村松良幸氏が、救急搬送の現場での自殺未遂者への対応や市との連携について報告しました。

【写真】稲敷市・橋本氏.png

稲敷市の橋本大河氏

【写真】いなほ消防署・村松氏.pngのサムネイル画像

いなほ消防署の村松良幸氏

次に、都立墨東病院と連携した自殺未遂者支援事業を展開する江戸川区保健予防課の古田満智子氏が、支援の流れや関係機関との「顔の見える関係づくり」のポイントなどについて講演しました。続いて、同病院医療相談部門の大橋史織氏(ソーシャルワーカー)が、医療機関の側から見た連携のあり方や課題、患者を支援につなぐために院内のソーシャルワーカーとして工夫していること、自治体に期待していること、などについて報告しました。

【写真】古田さん・清水さん・大橋さん.jpg

左から、江戸川区の古田満智子氏、JSCP代表理事の清水康之、都立墨東病院の大橋史織氏

その後の質疑応答では、約80人の参加者から質問があり、活発な意見交換の場となりました。研修終了後の受講者アンケートには、「行政と医療機関が連携して支援を行うための流れがよく見える講義で、具体的な添付資料も参考になった」、「行政職員だけではなく、消防や病院の立場からの話を聞くことができた点がよかった」、「他自治体の取組みを知ることで、気持ちを新たに頑張ろうと思った。医療機関にも熱い思いを持っている方がいることも励みになった」などの声が寄せられました。