研修・会議

【初開催】令和4年度「大学における自殺対策推進のための研修」開催レポート

いのち支える自殺対策推進センター(JSCP)は3月1日~31日の期間に、オンデマンド配信による「大学における自殺対策推進のための研修(令和4年度)」を開催し、全国の大学関係者など計3955名に受講申し込みをいただきました。
本研修は、近年大学生の自殺者数が増加傾向にあることや、大学における自殺対策が十分に行われていないこと(全国大学メンタルヘルス学会「大学の自殺予防対策に関する現況調査結果報告書, 2020年)を踏まえ、大学における自殺対策を推進することを目的として、JSCP子ども・若者自殺対策室が初めて企画・開催したものです。


国公私立大学等で自殺対策を含む学生の支援・相談に関わるすべての方を主な対象とし、参加費は無料としました。また、配信期間中はいつでも、何度でも動画を視聴いただけるオンデマンド形式の研修としました。本研修の開催にあたっては、厚生労働省、文部科学省、公益社団法人全国大学保健管理協会特定非営利活動法人全国大学メンタルヘルス学会にご後援いただきました。


研修では、筑波大学医学医療系災害・地域精神医学教授の太刀川弘和氏より、「大学ができる自殺対策〜ヘルシーキャンパスを目指して〜」と題して約60分のご講演をいただきました。はじめの「1. 大学生の自殺の背景」では、具体的なデータを豊富にまじえながら、昨今の大学生の自殺の状況、大学生は自殺のハイリスク者であること、コロナ禍における課題などをご紹介いただきました。「2. 教員ができる自殺予防」では、大学教員が個人としていかに大学生の自殺の危機に気付き対応するか・できるかについて、「3. 大学ができる自殺予防」では、組織として大学にどのような自殺対策が求められるか・できるか、について、具体的かつ実践的な内容に踏み込んだご解説をいただきました。

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筑波大学教授の太刀川弘和氏 太刀川氏の講演スライド

JSCPのホームページやSNSでの告知のほか、全国の大学の保健管理センター等に郵送やメール等で研修の案内を行い、630大学から3619名のお申し込みをいただきました。大学以外の教育機関の所属者83名、自治体関係者147名、その他106名も合わせると、お申し込み総数は3955名となりました。


研修動画の再生回数は、総計6049回にものぼりました。受講後アンケート(2042名から回答)では、【全体としての満足度】について、99%の方が「とても満足している」または「満足している」と回答。【研修の分かりやすさ】や、【研修の内容が業務に役立ちそうか】についても、99%の方が「とても分かりやすかった」または「分かりやすかった」、「とても役立ちそうである」または「役立ちそうである」と回答しました。さらに、97%の方から、「またこのような研修の機会があれば参加したい」との回答をいただきました。


本研修においては、当初の予想を上回る数の方々からお申し込み・受講をいただき、多くの大学の教職員の方々が大学における自殺対策に関心をもってくださっていること、大学における自殺対策をさらに推進できる可能性があることを再認識することができました。JSCPでは、今後もこうした研修を年一回程度、継続的に開催し、大学における自殺対策の推進を支援していきたいと考えています。令和5年度の研修開催予定が決まりましたら、JSCPのホームページやニュースレター等でご案内させていただく予定です。