研修・会議
【開催レポート】令和7年度「自死遺族等支援団体向け研修・意見交換会」
JSCPは2026年1月10日、自死遺族等支援を行っている民間団体を対象に、令和7年度「自死遺族等支援団体向け研修・意見交換会」をオンラインで開催しました。当日は、全国から23団体、30人の方に参加いただきました。この研修は、全国の自死遺族等支援団体が意見交換する場を設け、活動を展開するうえでのヒントにしていただくことを目的に2022年度から毎年度開催しているものです。
今回は、2025年6月に自殺対策基本法が改正され、第21条に「その生活上の不安等が緩和されるよう」自死遺族等への「総合的な支援」を行うことが盛り込まれたことを踏まえ、「自死遺族等支援における『総合的な支援』について〜とうきょう自死遺族総合支援窓口の活動を通して〜」と題して実施。前半は先駆的に「総合的な支援」に取り組んでいる東京都の活動報告と自死遺族支援における法律問題の解説を、後半は団体間の意見交換会を行いました。
(研修のプログラムは こちら)
1.活動報告
─ 講義1「とうきょう自死遺族総合支援窓口 2年の歩み~つなぎ支援の事例紹介など」
NPO法人全国自死遺族総合支援センター理事長 杉本脩子氏
NPO法人全国自死遺族総合支援センターでは、2023年10月から東京都の事業である「とうきょう自死遺族総合支援窓口」の運営を受託し、電話とメールによる相談を約2年余り行っています。研修前半の講義1では、同センター理事長の杉本脩子氏が登壇。杉本氏はまず、受託事業の方針として、自死遺族等が直面する様々な問題に対して、自死発生直後から支援し、心理的な影響だけではなく、生活面への影響も見逃さない総合的な支援としてカウンセリング的なアプローチとソーシャルワーク的なアプローチの統合を目指していることを説明しました。
そのうえで事業の概要として、相談の受付体制、相談件数、亡くなった方の性別や年代、相談者から見た亡くなった方との続柄等について紹介。特徴的な点として、これまでの相談件数延べ2000件弱のうち、半数近くが亡くしてから1年以内の方からの相談であること、事業開始当初に比べ現在は、10代、20代のお子さんを亡くした親が非常に多いことを挙げました。
相談者から寄せられる内容としては、感情面や身体面のほか、死因をどう伝えるか(あるいは伝えないか)といった周囲との関係性や、「なぜ自死・自殺したのか」「亡くした後の自分が生き続ける意味とは」といった実存的な問いかけもあるそうです。また、実生活における悩みの中には、相談員だけでは対処できないこともあるので、弁護士や精神保健の専門家に相談できる体制をとっており、例えば自治体等につなぐ必要がある場合は、相談員が先方の担当者に連絡し、アポイントを取るなどして確実に支援につながる工夫をしているということです。
最後に、2008年の団体設立時点で総合的支援の必要性を認識し、団体名に「総合」を入れたが、この事業を開始後、総合的支援の重さ、幅広さ、深さを再認識するとともに、遺された人が亡くした後の苦悩や葛藤に折り合いをつけ、生活上の困難に対処しながら、その人らしい新たな生き方の再構築を図るにあたっては、心理面だけではなく多方面にわたる支援が必要だと改めて実感していると述べました。
─ 講義2「自死遺族支援と法」
自死遺族支援弁護団事務局長 生越照幸氏
続いて自死遺族支援弁護団事務局長の生越照幸氏が講義。自死遺族支援の特殊性として次の3つを挙げ、自死遺族は、体調不良や偏見と闘いながら、複雑な法的問題を、期間制限の中で対応しなければならないからこそ、関係者の連携が必要になると述べました。
① 自死遺族自身が精神疾患にかかったり、様々な偏見に曝されたりする。
② 故人が抱えていた法的問題を相続するかという法的問題と、自死遺族固有の法的問題を同時に抱える。
③ 亡くなる手段や亡くなった場所によっては、更に法的問題が複雑化する。
そのうえで、具体的な法律問題として、相続、賃貸物件内での自殺、労災、鉄道自殺、医療過誤、児童生徒の自殺等について、ケーススタディ形式で解説しました。
2.団体間の意見交換会
研修の後半は、5つのグループに分かれて、参加者同士で意見交換会を行いました。そのなかで挙がってきた意見などをご紹介します。
●遺族の会や自助グループの存在が知られておらず課題を感じていたが、消防や火葬場等、様々な機関と連携した広報等の方法があることを知った。
●AIやオンラインを活用した自殺対策が進んできているが、人とのつながりが大事。情報交換しながらそれぞれの会が力を持つとともに、全国にこういった草の根的な活動が広がることが大切だと思う。
●継続的に一緒に活動する支援者を見つけることが難しいが、様々な機関と連携して探していきたい。
●総合的支援に関しては、わかちあいの会に参加した悲しみの渦中にある遺族に対して踏み込んで質問するのは難しいと感じる。しかし、公的手続き等は期限があるものなので、時効になってしまわないために、専門機関につなぐことが大切だと思った。
●自死遺族等支援が進む中、団体数も増えていることに加え、これまでは死因が自死であることを共通点としたグループが多かったが、共通する自死の要因や背景を持つ遺族に限定したグループも立ち上げられるようになり、多様化が進み、遺族支援の裾野も広がっている。情報交換やネットワークの構築など、色々な形でつながっていきたい。
JSCPでは、今後も定期的に自死遺族等支援団体などの民間団体を対象に、研修・意見交換会を継続して実施していく予定です。
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研修・意見交換会の参加者の皆さんと、JSCP関係者の集合写真
※参加者の許可を得て撮影・掲載しています






