自殺対策概要

日本における自殺の実情および自殺対策の概要を「基礎知識」として知っていただくためのページです。自殺は、その多くが「追い込まれた末の死」であること。それがゆえに、自殺対策とは「生きることの包括的な支援」であること。また、これまで「日本の自殺対策がどのように歩んできたか」や、いま直面している「喫緊の課題」等について解説しています。

本ページを通じて、日本の自殺問題・自殺対策の「過去・現在・未来」を知っていただければと思います。

自殺の実態

自殺は、その多くが「追い込まれた末の死」です。自殺は、人が自ら命を絶つ瞬間的な行為としてだけでなく、人が命を絶たざるを得ない状況に追い込まれるプロセスとして捉える必要があります。また自殺の背景には、精神保健上の問題だけでなく、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立などの様々な社会的要因があることが知られており、決して特別な人たちの問題ではありません。WHO(世界保健機関)が「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題である」と明言しているように、自殺は社会の努力で「避けることのできる死」であるというのが、世界の共通認識となっています。

自殺対策とは

自殺対策は、社会における「生きることの阻害要因(自殺のリスク要因)」を減らし、「生きることの促進要因(自殺に対する保護要因)」を増やすことを通じて、社会全体の自殺リスクを低下させる方向で、「対人支援のレベル」、「地域連携のレベル」、「社会制度のレベル」、それぞれにおいて強力に、かつそれらを総合的に推進するものとされています(「自殺総合対策大綱」より)。そのためには、精神保健的な視点だけでなく、社会・経済的な視点を含む包括的な取組が重要であり、そうした「生きることの包括的な支援」を実施するためには、様々な分野の施策、人々や組織が密接に連携する必要があります。

自殺対策の歩み

「自殺する奴は弱い人間だ」「自ら勝手に死んだんだ」―――。自殺は、かつては「個人の問題」と認識されがちでしたが、2006年10月に自殺対策基本法(以下「基本法」という。)が施行されて以降、広く「社会の問題」と認識されるようになり、国を挙げて自殺対策が総合的に推進されるようになりました。2016年には基本法が改正されて、「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現」を目指すために、すべての都道府県及び市町村が自殺対策計画を策定することになる(地域自殺対策計画策定の義務化)など、時代の状況に応じて、我が国の自殺対策は大きく変化し続けています。

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