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職員インタビュー① 総務部長 森野嘉郎:「現場の思い」大切にする組織でありたい

2024年8月 2日

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<プロフィール> 森野嘉郎(もりの・よしお)

大阪生まれ。1988年、弁護士登録(東京弁護士会所属)。マイノリティのサポートに関心があり、少年事件、こどもの人権擁護活動、LGBTQ、薬物依存症の問題、高齢者や精神障害者をめぐる問題などに関わる。2009年に個人事務所を開設。2010年~2016年「東京いのちの電話」理事長、2015年~2021年「日本いのちの電話連盟」常務理事。2017年~「NPO法人メンタルケア協議会」理事。20205月よりJSCPに在職、センター長補佐チーム長などを務め、2024年4月から総務部長。





──総務部の概要と役割を教えてください。

JSCPの4つの部/総務部構成.png

森野)JSCPは、自殺総合対策部、調査研究推進部、地域連携推進部、総務部の4つの部から成ります。総務部以外の3つの部は自殺対策に直接関わる業務を行うのに対し、総務部はそれを支える組織運営や職員へのサポートが主な役割です。総務部は、業務改善室、総務室、広報室、IT担当室、ISMS室の5室で構成され、職員には、これまで自殺対策に関わった経験がある人や、自殺対策への強い思いを持った人が多く在籍しています。

──JSCP総務部の特徴は?

森野)私自身は弁護士であり、他の職員も民間企業や官公庁、マスメディア等での勤務経験がある人など、様々なバックグラウンドを持つ人が働いているのが特徴です。各分野の能力・経験・知恵を有する人が、今は自殺対策でそれらを生かして仕事をしています。 

また、JSCPは民間団体ですが、厚生労働大臣指定法人という立場から、職員は公務員に準ずる職務規律で働いています。職員には罰則付きの守秘義務が課されるなど、コンプライアンス順守と質の高い仕事が求められています。

──これまで、弁護士としてどんな仕事に取り組んできましたか?

森野)1988年に弁護士になり、最初は少年事件を中心にやってきました。その後、薬物依存症や性的マイノリティ、精神障害を抱える方など、自殺のハイリスク者にあたる方々の事件も多く引き受けてきました。

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──自殺対策に関わるきっかけは?

森野)15年以上前になりますが、「東京いのちの電話」の活動に誘われたのがきっかけです。その後、「東京いのちの電話」の理事長に就任し、その活動を通して、現在JSCPの代表理事でもあるNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」代表の清水に出会いました。いのちの電話の活動には十数年かかわり、最終的に「日本いのちの電話連盟」の事務局長や常務理事を務めました。それがひと段落したころ、清水から声を掛けられ、JSCPに入りました。

JSCPの他にも現場で自殺対策に取り組む団体から声をかけてもらい、日中はJSCPに勤務し、夜間や休日は自殺に関する相談窓口でスーパーバイザーやアドバイザーを務めています。自殺対策に関わるようになってからは、弁護士として依頼された案件でも、法的な解決だけでなく、事件を通して依頼人の「生きづらさ」を解消できるようなかかわりを心がけるようになりました。

──森野部長が考える「自殺対策」とは?

森野)自殺対策は、自殺対策の専門家が特定の人に向けて行う活動だけではありません。生活困窮や消費者問題、女性や性的マイノリティの問題など、各分野の専門家が自殺対策の知識を念頭に置きながら、それぞれの対象者が生きづらさを解消できるように世の中を変えていくこと。このような様々な活動の総体も、自殺対策といえるのではないでしょうか。こうした活動に関わる人が手を取り合い連携していくことで、自殺に追い込まれる方が減っていくと思っています。

様々なバックグラウンドを持つ職員が集まるJSCPは、多職種が協力して業務を遂行しており、自殺対策の取り組みのあるべき姿を示していると思います。

──自殺対策で大切にしていることは?

森野)ずっと現場に関わってきたので、現場の思いを大切にしたいと思っています。ただ、現場だけですべてが解決できるわけではなく、ハブや司令塔の役割も必要です。JSCPは主に後者の役割を担う組織ですが、代表理事の清水は現場出身であり、その現場を大切にする思いのもとに職員が結集してできたJSCPは、現場のことを忘れることはないと確信しています。

JSCPは調査研究機関であり、どのような政策が自殺の減少に寄与するかという量的な研究を行うことも多いですが、その研究成果が、現場で生きづらさを抱える人の苦しみを減らすことにつながってほしいです。今後はそのための職員と現場の橋渡し役も担っていきたいです。


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