研修・会議

「第5回 生きることの包括的支援のための基礎研修」を開催しました

2022年6月 3日

JSCPは令和4年2月28日(月)、自治体の自殺対策担当者・関係者を対象とした「第5回 生きることの包括的支援のための基礎研修」をオンラインで開催し、約200人が参加しました。(次第はこちら
今回のテーマは「被災から復興、平時における地域への介入と自殺対策」であり、「地域保健福祉を通じた地域づくりの可能性」について考えました。

災害は地域や人々の暮らしを一変させ、心のケア、孤立防止、生活再建まで幅広い施策が求められます。本研修は、阪神・淡路大震災、北海道胆振東部地震といった被災経験を持つ自治体より、被災直後から復興期までの取り組みをご報告いただき、被災地各地の経験・知見を共有するとともに、平時における取組についても学ぶ機会とすることを目的として開催しました。

研修ではまず、進行役であるJSCP地域連携推進部の森口和が、自殺対策における大規模災害時の取り組みの位置づけ等について説明しました。
その後、兵庫県健康福祉部参事の柳瀬厚子氏に「阪神・淡路大震災時の保健活動状況」、北海道厚真町住民課参事の宮本幸世氏、同主任の杉山効平氏、東北大学災害科学国際研究所助教の定池祐季氏に「北海道胆振東部地震発災からこれまでの地域保健活動」と題し、それぞれご講演いただきました。

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兵庫県健康福祉部の柳瀬厚子氏

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北海道厚真町住民課の宮本幸世氏(左)、杉山効平氏(右)

レタッチ_02.png東北大学災害科学国際研究所の定池祐季氏

続いて、「復興期以降/平時における課題」をテーマとして、柳瀬氏、宮本氏、杉山氏、定池氏による座談会を行いました。
災害が起こる前の平時の備えについて、柳瀬氏からはガイドラインの策定や関係者とのネットワーク構築の重要性、宮本氏と杉山氏からは、自分が担当している地区の住民と顔を合わせ責任を持って関わることや災害時に派遣される支援チームの情報を把握し発災時の支援活動を組み立てておくことの大切さ、定池氏からは災害対応時の全体調整として都道府県が基礎自治体を支援していくことの必要性が指摘されました。

最後の質疑応答では、あまり反応のない被災者の方にどう働きかけ、孤立を防止するかという質問に対して、柳瀬氏からは行政による支援とのタイミングが合わない場合にボランティアの方による声掛けが機能したこと、宮本氏と杉山氏からは困ったことがあれば相談してほしいというマイルドなお節介を示しておくことが後々のきっかけになること、定池氏からは支援物資を渡すことを理由に訪問すると会いやすくなることなど、具体的なヒントを多くいただきました。