研修・会議
【開催レポート】令和6年度 第1回 全国自殺対策主管課長等会議・全国児童福祉主管課長会議 ・地域自殺対策推進センター連絡会議
2024年8月29日
深刻な状況にあるこども・若者の自殺対策を推進するため、JSCPは2024年7月22日(月)、厚生労働省、文部科学省、こども家庭庁と連携し、都道府県および政令指定都市の担当者を対象に「令和6年度 第1回 全国自殺対策主管課長等会議・全国児童福祉主管課長会議・地域自殺対策推進センター連絡会議」をオンライン形式で開催しました。当日は、全国の都道府県・政令指定都市の自殺対策主管課と地域自殺対策推進センター担当者のほか、児童福祉主管課職員や教育委員会などの学校関係者など、計約250名が参加しました。3省庁と連携した同会議の開催は、令和5年度に続いて今回が2回目です。
会議の目的
本会議の主な目的は、JSCPと3省庁が連携して「こどもの自殺対策緊急強化プラン」(2023年6月策定)の主要施策である「こどもの自殺の要因分析」、「リスクの早期発見(1人1台端末の活用等)」、「的確な対応(若者の自殺危機対応チームの全国展開)」等を有機的に連動させ、現場で一体的に運用できるよう支援することです。
「こども・若者の自殺危機対応チーム」は、希死念慮の高いこどもや若者に対し、学校や市町村等の地域の支援者が支援を行っているものの対応に苦慮しているケースについて、多職種の専門家が助言や支援コーディネート等を行うことで、こどもや若者の自殺を防ごうという取り組みです。
出典:こども家庭庁ホームページの「こどもの自殺対策緊急強化プラン(概要)」
(https://www.cfa.go.jp/policies/kodomonojisatsutaisaku)
会議の構成
本会議は二部構成で進行しました。第1部では、参加者全員を対象に「こども・若者の自殺危機対応チーム」の全国展開に向けた取り組み状況について説明し、第2部では、自殺対策主管課ならびに地域自殺対策推進センターを主な対象に、2023年(令和5年)度に実施した「自殺対策推進状況調査」の結果について説明しました。
会議の内容
会議の冒頭で、JSCP代表理事の清水康之が、自殺のリスクを抱えたこどもや若者への対応に際し、こども・若者の自殺危機対応チームを通じて得られる助言について、事例を通して紹介しました。清水は、「自殺のリスクを抱えたこどもや若者に対し、しっかりとチームで対応していくことが求められる。そのためにも、それぞれの地域でこども・若者の自殺危機対応チームをつくり、チームと地域の支援者との間で連携の取れる体制を整備しておくことが重要だ。ぜひ当事者意識をもって、この会議に臨んでいただきたい」と述べました。
JSCP代表理事 清水康之
続く「議題1 こどもの自殺対策について」では、こども家庭庁支援局総務課長で自殺対策室長の山下護氏より説明がありました。山下氏は、小中高生の自殺者数が高い水準で推移していることを統計データに基づいて説明し、こどもの自殺対策緊急強化プランに基づき関係省庁等とも連携しながら自殺対策の推進に取り組んでいること、またこどもの自殺の背景を明らかにするために令和5年度に実施した「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」の結果について説明しました。
こども家庭庁支援局総務課長・自殺対策室長 山下護氏
「議題2」では、 文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導調査官の池田真信氏が「1人1台端末等を活用した児童生徒の自殺対策について」説明しました。池田氏は、児童生徒のSOSを早期に発見するとともに適切な支援へつなげる方策として、1人1台端末を活用した心身の状況把握や教育相談等について説明しました。さらに、夏休みなど長期休業明けにこどもの自殺リスクが高まることが懸念されることから、「それぞれの立場でこどもの自殺防止に協力いただきたい」と話しました。
文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導調査官 池田真信氏
「議題3 『こども・若者の自殺危機対応チーム事業』の推進」では、厚生労働省大臣官房参事官(自殺対策担当)の前田奈歩子氏が、こどもや若者の自殺の実態を踏まえた対策の1つとして、国交付金事業である「こども・若者の自殺危機対応チーム事業」の活用促進を呼びかけました。説明の中で前田氏は、「チーム事業は自殺対策主管課のみで実施できるものではない。教育関係者等ともよくご相談いただき、自殺リスクの高い児童生徒に対応するための日頃からの備えとして、積極的に事業の実施をご検討いただきたい」と述べました。
厚生労働省大臣官房参事官(自殺対策担当)前田奈歩子氏
最後に「議題4 『こども・若者の自殺危機対応チーム』の概要と取組状況」では、JSCP地域連携推進部部長補佐の村松裕文より、現在チーム事業を実施している自治体の支援事例をもとに、事業を通じた自殺対策の推進体制の構築や、チームの立ち上げに向けた留意点等について解説しました。
JSCP地域連携推進部部長補佐 村松裕文
事後アンケートの結果
会議終了後の参加者アンケートでは、会議について「とてもよかった」または「よかった」と回答した人の割合が95パーセントとなっており、「支援チームの具体例が紹介されたことで、どのような流れで支援をするのか、チームのあり方を確認できた」「事業だけでなく事例の紹介もあったことで、具体的なポイントを理解できた」など、事例を通じて理解が深まったという声が多く寄せられました。また、「こどもの自殺対策について、関係省庁それぞれの取り組みの連動性が理解できた」といった感想もありました。
JSCPは今後も各省庁や関係者等と連携しながら、各種会議や研修会の開催等を通じて、地域における自殺対策の推進を支援していきます。
【報告:地域連携推進部部長 小牧奈津子】
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