研修・会議

令和2年度 自殺未遂者ケア研修「精神科救急版」

2021年1月17日

高リスクの自殺未遂者の支援について、モデル症例を用いた実践的な研修

自殺未遂者ケア研修「精神科救急版」は、初期対応からアセスメントまで、臨床現場で役立つ自殺未遂者ケアのポイントを、日本精神科救急学会が作成したガイドラインに沿って体系的に学んでいただくとともに、モデル症例を用いた多職種ワークショップを通じてケアのあり方を実践的に習得することを目的としています。研修の講師とファシリテーターは、自殺未遂者ケアを実践している専門家・専門職が担当しています。

日本臨床救急医学会・日本精神科救急学会との共催

本研修は、2008(平成20)年より日本精神科救急学会との共催で開催されており、2019(令和元)年度より日本臨床救急医学会と日本精神科救急学会の共催による開催となりました。今年度は計41名の精神保健福祉に従事する医師、看護師、精神保健福祉士などや、一般救急の医師、看護師、臨床心理士、社会福祉士、作業療法士、救急救命士、地域の自殺対策に関わる保健師など様々な職種の方が参加されました。

研修内容

研修はZoomを利用して実施し、午前中は張賢徳先生(帝京大学医学部附属溝口病院 精神科科長)による講義「自殺行動の精神医学的理解と対応」、大塚耕太郎先生(岩手医科大学神経精神科学講座 教授)による「ワークショップオリエンテーション」、杉山直也先生(復康会沼津中央病院 院長)による「自殺未遂者対応ガイドラインの説明」がありました。

午後からは、Zoomのブレイクアウトルーム機能を活用し、5人~6人のグループに分かれて症例検討のワークショップを行いました(2つの症例のうち各班1つについて、グループディスカッション)。各グループには、自殺未遂者ケアを専門とする医師、精神保健福祉士、保健師、心理師がファシリテーター(進行役)として加わり、ファシリテーション(参加者の意見を聞き出しつつ整理し、合意形成・相互理解へと導く)を行いました。オンラインでのワークショップは初めての参加者が多く、最初は戸惑われた参加者もいらっしゃいましたが、ファシリテーターの先生方の見事なファシリテーションによって、どのグループも積極的なディスカッションが交わされました。ワークショップ終了後、センター長の本橋豊(いのち支える自殺対策推進センター)による講義「地域における自殺未遂者対策を理解する」では、コロナ禍での自殺者の動向など最新の情報と併せて、地域における自殺未遂者対策の最新の知見が示されました。その後、全体での発表とディスカッションが須田顕先生(横浜市立大学医学部精神医学教室 医局長)および大塚耕太郎先生の進行で行われ、各グループのワークショップの成果物を共有しつつ、コメンテーターの先生方からのコメントを通した現場の知見を学びました。

参加者の満足度も上々

研修参加者の事後アンケートでは、研修全体に対して「大変満足」34.1%、「満足」53.6%、「普通」12.1%との回答があり、講義・多職種ワークショップともに大変好評でした。また、Zoomによるオンライン研修についても好意的なコメントが多く寄せられました。

次回は3月に開催

いのち支える自殺対策推進センターでは、3月に地域の保健医療関係者(自治体職員)、民間団体等関係者を対象とした地域の保健医療における「自殺未遂者ケア」オンライン研修を実施いたします。ご参加をお待ちしております。

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