研修・会議
令和4年度 自殺未遂者ケア研修「第1回 かかりつけ医版」を開催しました
JSCPは令和4年9月25日(日)、令和4年度 自殺未遂者ケア研修「第1回 かかりつけ医版」をオンラインで開催し、約180名が参加しました。
保険医療機関での業務に従事する医師(精神科医、心療内科医を除く)、歯科医師を対象とし、かかりつけ医が「地域社会からの孤立の状況等により、精神疾患が増悪するおそれがあると認められるもの又は精神科若しくは心療内科を担当する医師による療養上の指導が必要であると判断されたもの」に適切に対応するためのスキル等を修得することが目的です。(プログラムはこちら)
JSCPではこれまで、自殺未遂者ケア研修として「精神科救急版」と「一般救急版」(両研修は、日本臨床救急医学会、日本精神科救急学会が共催)を開催してきましたが、今年度新設の「かかりつけ医版」の開催は今回が初めてです。
JSCPが主催する本研修は、今年度の診療報酬改定で新設された「こころの連携指導料(Ⅰ)」に対応した要件研修です。
研修会ではまず、JSCP代表理事の清水康之が「本研修が、我が国における自殺未遂者支援の第一人者である札幌医科大学の河西千秋先生、岩手医科大学の大塚耕太郎先生のご指導をいただきながら、無事に開催できることを大変ありがたく思っている」、「午前の3つの講義に加えて午後はワークショップ形式の研修があり、具体的で典型的な症例に基づき、講師と参加者との間での双方向のやり取りができるようになっている。積極的に参加していただきたい」などと挨拶しました。
JSCP 代表理事の清水康之
午前の「講義1」では、JSCP自殺未遂者支援室長の大内衆衛が「かかりつけ医等における精神疾患および自殺対策」と題して講演しました。
患者の自殺を経験したことがあるかかりつけ医等が4割に上るという調査結果や、自殺に至った人の4割以上が自殺の4週間以内に精神科以外の医療機関を受診していたという調査結果などを紹介し、「精神疾患や自殺の問題は精神科の領域と思われがちだが、かかりつけ医等にとって、実は隣接した問題である」などと述べました。
また、自殺対策基本法(2006年施行)に始まる自殺に関する法整備等、「こころの連携指導料(Ⅰ)」の算定に伴う注意事項について、詳細に説明しました。
JSCP 自殺未遂者支援室長の大内衆衛
続いて「講義2」では、札幌医科大学医学部神経精神医学講座・主任教授の河西千秋氏による「プライマリケア医の先生のための自殺予防の基礎知識」と題した講義動画を配信しました。
同講義で河西氏は、日本人の10代~30代の死因の第1位が自殺であること、自殺の動機の1位が健康問題であることを報告しました。
さらに、自殺のリスク因子や自殺に傾いていく人の心理状態などについて詳しく説明した上で、かかりつけ医が精神科との連携において注意すべき点などについても解説しました。
札幌医科大学の河西千秋主任教授
「講義3」では、岩手医科大学医学部神経精神科学講座・教授の大塚耕太郎氏が「ハイリスク精神疾患患者のケア」と題して講演し、自殺防止のアプローチの基本要素、自殺ハイリスク者の診療およびケアの方法、ケアにあたっての基本姿勢(TALKの原則)、自殺の危険性の評価、自殺の防御因子などについて、より専門的な観点から講義しました。
岩手医科大学の大塚耕太郎教授
午後は、大塚氏、河西氏による司会のもとでワークショップが行われ、途中で参加者への設問も挟みながら、双方向のコミュニケーションが図られました。ワークショップPart1では中高年男性、Part2では高齢の患者に関するケース検討を行い、対応方法を学びました。
質疑応答の時間も長めに設け、参加者と講師の間で活発なやり取りがありました。
今後も、参加者にとってより充実した内容の研修を行うべく、研修内容に加えて研修形式の検討も重ねて行ってまいります。
本研修は、年複数回の開催を予定しており、次回「第2回 かかりつけ医版」は、今年冬頃に開催の予定です。
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