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【開催レポート】令和8年度開催 自殺対策推進レアール(令和7年度委託研究成果報告会)

JSCPは2026年8月31日、自殺対策に関する革新的研究推進プログラム「自殺対策推進レアール(*1)(令和7年度委託研究成果報告会)」をオンラインで開催しました。
自殺対策に関する革新的研究推進プログラム」(*2)は、科学的根拠(エビデンス)に基づいた政策立案及び社会還元に資する研究を推進するため、自殺対策関連分野の研究者等への公募による委託研究を行うものです。今回は、2025(令和7)年度に採択された5つの研究課題について、1年度目の研究成果を報告。報告会には自殺対策の現場を担う地方自治体の自殺対策担当者や自殺対策関連学会に所属する方々を中心に、約300人の方に申し込みをいただきました。

報告会の冒頭、JSCP総務部長の森野嘉郎は、自殺対策に関する革新的研究推進プログラムにおける研究を通じて、自殺対策の「現場」と「研究」と「政策」の連動性を向上させることで、対策の更なる推進を目指していると説明。その上で、参加者からの意見や質問と、それを踏まえた研究代表者とのやりとりが、「研究と自殺対策の現場における取り組みとの連動性を高め、現場での活用や社会実装へとつなげていくための重要な一歩となる」として、積極的な参加を呼びかけました。

続いて、厚生労働省大臣官房参事官(自殺対策担当)の宮崎千晶氏が挨拶(同省社会・援護局総務課自殺対策推進室指定調査研究等法人指導係長の楠田明浩氏が代読)。まず、自殺をめぐる現状として、年間の自殺者数が減少傾向で推移する一方、こどもや若者における自殺は極めて深刻な状況にあり、あらゆる対策を講じる必要があると説明しました。その上で、本プログラムに採択された各研究課題が、一人ひとりのいのちと真摯に向き合おうとする重要なものであり、レアールにおける報告を踏まえた参加者との質疑や意見交換を通じて、研究がさらに進展し、対策の推進につながり得る成果が導き出されることへの期待を述べました。

報告会では、令和7年度採択課題のプログラムディレクターである、中田光紀氏(産業医科大学医学部教授)が座長を務め、各採択課題の研究代表者が1年間の研究成果を報告。それぞれの研究を通じてこれまでに得られた成果や知見、2年度目以降の研究計画や課題等について説明しました。各報告に対しては参加者から多くの質問が寄せられ、発表者がそれに丁寧に答える形で議論を深めました。

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全体討議の様子

各報告の後は、研究代表者にJSCP総務部長の森野と調査研究推進部長の小牧奈津子も加わり、全体討議を実施。各研究報告の内容を踏まえながら意見交換を行い、自殺を防ぐ上でのリスク予測における課題や、予測後の対応などについて議論が交わされました。また、適切なタイミングで介入等を行うには、リスク予測の精度を上げる重要性とともに、対応にあたっては、生成AI等の活用が広がる中で、いかに人間味を感じてもらえるかが、支援への接続という観点からも重要ではないかという指摘もなされました。さらに、今後は、自殺のリスクに自ら気づき、適切な対応が取れるような教育、啓発が重要であり、そのためには個人の問題として自殺を捉えるのでなく、社会の問題として捉えるとともに、その社会や環境を変えることで、全体の幸福やウェルビーイングの向上へと結び付けていくことが重要ではないかといった意見も上がっています。このように、自殺対策の現状や課題を踏まえつつ、その解決や取り組みの推進につなげていくためのポイント等について、参加者も含めてともに考えるという貴重な場となりました。

JSCPでは、今後も自殺対策に関する革新的研究推進プログラムを通じて、自殺対策の実践的な研究(政策研究)をもとに、自殺総合対策の推進に資するデータ及び科学的根拠を収集することで、自殺総合対策の推進を図っていきます。

*1 「自殺対策推進レアール」は、自殺対策に関する革新的研究推進プログラムの委託研究成果報告会の名称です。「レアール」という言葉はフランス語で中央市場(Les Halles)を意味します。本プログラムでは、研究報告会という場が自殺対策の「現場」と「研究」と「政策」との連動性を向上させるための、非常に有効な情報共有や意見交換の場となることを期待して、この名をつけています。

*2 令和8年度より、本プログラムの名称を「革新的自殺研究推進プログラム」から変更いたしました。

令和7年度 自殺対策に関する革新的研究推進プログラム 委託研究一覧

【領域1】こども・若者に対する支援プログラムの構築・実践

課題番号 研究課題名 研究代表者 所属・役職
R7-1-1 簡易コンタクト法を併用した心理教育アプリは大学生と大学のつながり感を高めるか? 松原敏郎 国立大学法人山口大学 大学院
医学系研究科
高次脳機能病態学講座(精神科神経科)准教授

 

【領域2】自殺ハイリスク群に対する支援プログラムの構築・実践

課題番号 研究課題名 研究代表者 所属・役職
R7-2-1 心理的苦痛の変動様式に着目した自殺関連行動に対する短期介入プログラムの開発研究 翠川晴彦 国立大学法人筑波大学附属病院
病院講師
R7-2-2 労働者の自殺行動を予測するバイオマーカーの探索的コホート研究 中田光紀 学校法人産業医科大学 医学部
公衆衛生学教室 教授

 

【領域3】デジタル関連技術(AI, IoT)やビッグデータを活用した自殺対策プログラムの構築・実践

課題番号 研究課題名 研究代表者 所属・役職
R7-3-1 生態学的瞬間評価法を利用した自殺リスクの推定と警告の発出 松本 昇 国立大学法人信州大学 人文学部
准教授
R7-3-2 日本のマンガ・アニメにおける安全な自殺表現の評価基準の作成と心理的影響の検証 髙橋あすみ 学校法人北星学園 北星学園大学
社会福祉学部 心理学科 専任講師

※所属・役職は開催当時