JSCPの行う調査・研究について
- HOME
- 調査・研究等
- JSCPの行う調査・研究について
- 高校教育課程別の自殺の実態に関する論文を公開
高校教育課程別の自殺の実態に関する論文を公開
JSCPの研究グループは、2026年5月27日に米国医学雑誌「JAMA Network Open」において、高校の教育課程別に見る自殺の特徴に関する論文「Suicides and High School Program Types in Japan」(「日本における自殺と高校の教育課程」)を公表しました。
日本の高校生の自殺は、2022年に過去最多(当時)の354人となり、その後も高い水準が続いています。本研究では、自殺統計データを基に、全日制高校と定時制・通信制高校の比較を通じて、自殺死亡率と自殺で亡くなった生徒の特徴を分析しました。
その結果、分析対象期間(2022~2024年)では、全日制高校と定時制・通信制高校の自殺死亡者数(自殺死亡率)はそれぞれ680人(7.8)、328人(32.5)と、定時制・通信制高校の自殺死亡率が統計的に有意に高く、特に2024年の定時制・通信制高校の女子生徒の自殺死亡率は、全日制高校に比べて約6倍と顕著な差となっていました。
また、自殺で亡くなった生徒の特徴を比較した結果、定時制・通信制高校では、全日制高校に比べて「19歳以上」「精神科通院歴がある」「過去に自殺未遂の経験がある」生徒や、自殺の原因・動機が「健康問題」「その他」に該当する生徒の割合が有意に高いこともわかりました。さらに、こうした生徒個人の特徴による影響を統計的に調整した上でもなお、全日制高校に対する定時制・通信制高校の自殺者の割合は、年々増加傾向にあります。こうした差は、教育課程間の自殺の実態の差が、自殺で亡くなった生徒個人の特徴や本研究で扱った自殺統計原票の項目(変数)だけでは十分に説明しきれない可能性も示しており、定時制・通信制高校における登校日数や教職員・他生徒との接触機会が限られるといった構造的な性質が、生徒の孤立や問題の早期発見の困難さに関わっている可能性などが考えられます。
本研究は自殺統計に基づく分析であり、個々の生徒が置かれていた状況や学校現場の実態を直接把握したものではないという限界はありますが、定時制・通信制高校が、多様な背景や困難を抱える生徒のセーフティネットとして重要な役割を果たしている一方で、セーフティネットとしての役割に見合った支援体制や資源が十分に追いついていない可能性を示唆するものと考えられます。各教育課程の特性を踏まえた資源配置や仕組みの構築に向け、更なる実態把握や検討が求められます。
■論文はこちら(JAMA Network Open内)に掲載されています






