啓発・提言等

<9月10日は世界自殺予防デー>国際自殺予防学会(IASP)の啓発動画と ポスターの日本語版を公開

2022年9月 7日

世界では、全死亡者の100人に1人(2019年データ)は自殺で亡くなっており、自殺は公衆衛生上の重要な課題です。2003年に世界保健機関 (WHO)と国際自殺予防学会(IASP)が共同で開催した世界自殺防止会議(スウェーデン・ストックホルム)の初日を最初の世界自殺予防デーとして、世界的に自殺対策に取り組む責任があると決意表明(宣言)された日です。以降、国の機関や一般の人々に対し、自殺対策の重要性に対する認識を高めるため、毎年活動が続けられています。世界自殺予防デーは年々その活動が拡大しており、最近では、60か国以上で自殺対策の啓発を目的としたキャンペーンが行われています。

例えば、自殺によって亡くなった人、自殺の苦しみを克服した人、そして自殺対策への気持ちを表明するために、9月10日の当日にキャンドルを灯す「Light a Candle」というイベントも行われています。そして、2018年には、キャンドルの炎をイメージしてデザインされたオレンジと黄色のリボンを世界共通の自殺防止啓発リボンとして発表しました。

また、2020年にIASPが作成したこちらの動画「Step Closer」は世界中で多くの人に視聴され、3000万回以上再生されています。JSCPは2022年の世界自殺予防デーに合わせ、この動画の日本語版(字幕)を作成しました。

IASPは、2022年の世界自殺予防デーに先駆け、2021年に引き続き、「アクションを通じて希望を生み出す(Creating Hope Through Action)」という標語を掲げています。自殺の多くは予防が可能であり、私たちのちょっとした行動でその一助を担うことができるかもしれません。この標語には、自殺防止のために、人々に行動を起こしてほしいという願いが込められており、その具体的な「行動」として、「互いに支え合う時間にしよう(Take Time to Reach Out)」と呼びかけています。

気になっている周りの人に声をかける、話を聞く、といったちょっとした行動で、人はつながりを感じることができる。そしてそのつながりが、いのちをつなぐ希望になるかもしれません。また、自殺願望があるかどうかを聞くことも躊躇しないでほしいということです。自殺について尋ねることは抵抗を感じるかもしれません。その質問がかえって状況を悪化させるのではないか、と不安に感じることもあるかもしれません。しかし、声をかけることそのものに大きな意味があるのです。もし、あなたの周りで気になっている人がいれば、ためらわずに声をかけてみましょう。近くにいる誰かが、あなたの一言を待っているかもしれません。


さらにJSCPは、IASP作成のポスター「Take Time to Reach Out」の日本語版、「互いに支え合う時間にしよう」を作成しました。

IASP_TimeToReachOut.png

(PDFはこちら

ポスターには、困っている人を支援する際に推奨されている方法についても記載があります。例えば、アメリカのヘルプライン「988 Suicide&Crisis Lifeline」 からは、「いのちを救う5つのステップ」として、

1. 声をかける
2. 寄り添う
3. 安全を守る
4. 支援につなげる
5. 見守る

というアクションが提案されています。
世界自殺予防デーの機会に、自殺に対する理解を深め、周りの人に声をかけてみましょう。あなたの一言や、ちょっとした笑顔だけでも、困っている人にとっては希望のともしびとなるかもしれません。


(参考情報)
IASP WSPD Resources, Brief, Banners, Light a Candle