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【職員インタビュー】
総務部長補佐/総務室長/自死遺族等支援室 室長代理:秋田整
「自死遺族が温かく受け入れられる社会を」 ―― 基本法に救われた当事者として、自治体と共に築きたい

photo-mr.akita_02-profile .jpg〈プロフィール〉
秋田 整(あきた・ひとし)
青森県生まれ、埼玉県育ち。大学を卒業後、1997年に損害保険会社に入社。2007年、北海道在住時に父を自死で亡くす。北海道内の自死遺族のわかち合いの会への参加を経て、自助グループの立ち上げにも携わる。東京へ転勤後、わかち合いの会のスタッフやファシリテーターを務める。2016年に損保を退職後、小児がんの患児・家族を支援する団体での勤務を経て、2020年にJSCP入職。








――秋田さんの主な業務内容や役割を教えてください
秋田)JSCPの組織基盤を支える総務部で、総務部長補佐として部全体の業務をみるとともに、総務室長として、理事会や社員総会の運営、職員の採用、経理の決裁等、総務全般の幅広い業務を担当しています。

自死遺族等支援室の室長代理としては、主に地方自治体(都道府県や政令指定都市)の職員の方々を対象とした研修講師や、民間団体向けの研修・意見交換会の企画・運営に携わっています。また、自治体関係者や支援者向けの「自死遺族等を支えるために 総合的支援の手引(改訂版)」(2024年9月に公開)の作成にも関わりました。

――JSCPで働く前は、どんなことをしていましたか?
秋田)大学を卒業後、損害保険会社で火災保険や自動車保険の事故調査や保険金の支払い、訴訟対応などを担当しました。2016年に退職後は、小児がんの患児・家族を支援する団体で、地方から治療のために首都圏にやって来るご家族のための宿泊施設運営に携わりました。

――自殺対策に関わるきっかけは?
photo-int-mr.akita_11 -article.jpg秋田)根本にあるのは、2007年5月に父を自死で亡くした経験です。後になって思えば、父は自殺のリスク要因をいくつも抱えていました。しかし、当時はそれが自死につながるとは思わず、兆候に気づけなかった自分を責めました。

加えて、損保の約款には「自殺の場合は免責(保険金が支払われない)」と記されていて、私はそれまでに、被保険者の死因が自殺でないかどうかを確認する業務を担ったこともありました。父が亡くなる前はあまり深く考えたことはありませんでした。しかし、自分が自死遺族の立場になると、その約款の文言に強い心の痛みを感じ、会社の机の引き出しに約款を入れておくことさえつらくなったのです。それが、自分自身の中にも自死・自殺に対する誤解や偏見があったことに気づき、他の自死遺族の方々が受けてきたであろう痛みにも思いを馳せるきっかけとなりました。

その後、メンタル不調に陥り休職した時期もありました。父の一周忌を迎える頃、命日が近づくにつれて体調や気持ちが不安定になる強烈な「記念日反応」に見舞われ、自死遺族の「わかち合いの会」(自助グループ)に参加するようになりました。他の遺族と対話する中で、「無理に立ち直らなくてもいい」「つらい思いを抱えたまま生きてもいい」と初めて思えたことが大きな転機となりました。

ちょうどその頃、NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」が行っていた遺族へのヒアリング調査「自殺実態1000人調査」を知り、「父の死を今後の自殺予防に役立ててほしい」という思いで、調査に参加しました。そして、自死遺族支援に真剣に取り組む方たちと交流する中で、今まで考えたこともなかった生き方を意識するようになりました。それ以降は、当時勤務していた北海道でわかち合いの会の立ち上げに参画したり、自殺対策に関する研修会で自死遺族としての経験談をお話ししたりするようになりました。

2010年に東京へ転勤後は、NPO法人「全国自死遺族総合支援センター」が運営する各地のわかち合いの会に、スタッフとして長く関わってきました。そして2020年4月にJSCPに入職しました。

――自殺対策への思いや、今後取り組みたいことは?
秋田)2006年に自殺対策基本法が成立してから20年が経ちます。この20年で、自死遺族等支援は大きく様変わりしました。当初は数えるほどしかなかったわかち合いの会は全国に広がり、オンラインも活用され、居住地に関係なく参加できるようになりました。2025年6月の基本法改正では、心理面の支援に加え、生活・法律面も合わせた「総合的な支援」を加速させることが盛り込まれました。しかしその一方で、地域によって取り組み状況に差があるのが現状です。

JSCPとしては、先行して取り組む自治体の事例を全国に共有し、研修などを通して自治体の皆さんと一緒に自死遺族等支援の底上げを図っていきたいと考えています。私を含め当事者である職員が研修講師を務める際は、制度の解説にとどまらず、当事者としての視点も交えることで、なぜ支援が必要なのかを実感していただくことを大切にしています。

私は、基本法に基づく自死遺族等支援の枠組みがあったからこそ、自治体主催のわかち合いの会に繋がり、今こうして生きていられます。基本法成立に尽力された方々や、当初から自死遺族等支援に携わってくださった方々に感謝の思いは尽きません。

2006年の基本法成立に多くの自死遺族が関わったことを考えると、この大切な枠組みを維持し、さらに発展させていくことが私の役割だと感じています。自死・自殺の無い社会が理想ですが、自死・自殺があったとしても自死遺族が温かく受け入れられる社会を、皆さんと共に築いていきたいです。

【自治体関係者の皆様へ】

本記事の内容を施策検討や庁内研修にぜひご活用ください。JSCPでは、各都道府県・政令指定都市の実情に応じた自死遺族等支援の体制構築や、実務者向け研修の企画支援を行っています。具体的な進め方については、地域連携推進部の担当者まで直接ご相談ください。

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