研修・会議

令和4年度 自殺未遂者ケア研修「第1回 精神科救急版」を開催しました

2022年7月21日

JSCPは令和4年6月26日(日)、令和4年度 自殺未遂者ケア研修「第1回 精神科救急版」をオンラインで開催し、約60名が参加しました。精神保健福祉に従事する医師、看護師、精神保健福祉士等を対象とし、臨床現場で役立つ自殺未遂者ケアのポイントを体系的に学び、多職種でのワークショップを通じてケアのあり方を実践的に習得していただくことを目的とした研修です。例年定員を大きく上回る申し込みをいただいていることから、今年度は開催回数を従来の年1回から2回に増やしました。本研修は厚生労働省の補助金事業であり、日本精神科救急学会、日本臨床救急医学会が共催団体となっています。
(プログラムは、こちら

研修会ではまず、本研修を主催するJSCPの代表理事である清水康之が挨拶し、自殺者数の年次推移について「自殺者数は10年連続で減少していたが、ここ数年は減少のスピードが鈍くなり、令和2年には11年ぶりに上昇に転じた。自殺対策は依然として待ったなしの状態が続いており、社会全体で一層対策を強化していかなければならない。その際に最も力を入れなければならない取り組みの一つが、この『自殺未遂者支援』である」と述べました。
また講義では、JSCP自殺未遂者支援室長の大内衆衛が「法等の整備と自殺未遂者支援の展開」と題し、「自殺対策基本法の制定とその後の法整備」「自殺総合対策大綱における自殺未遂者支援の枠組み」「自殺未遂者を支えるための医療・社会資源」「自傷・自殺未遂レジストリの構築」について話しました。さらに、平成18年の自殺対策基本法の制定および同19年の自殺総合対策大綱策定から今夏に予定されている新自殺総合対策大綱策定までの流れを下敷きに、自殺未遂者支援に関わる種々の取り組みについて説明しました。

研修会は午前10時から午後5時まで行われ、午前中は、帝京大学医学部附属溝口病院精神科・客員教授の張賢徳氏が「自殺行動の精神医学的理解と対応」と題して講演し、日本精神科救急学会理事長の杉山直也氏から「自殺未遂者対応ガイドライン」についての説明等がありました。
午後は、岩手医科大学医学部神経精神科学講座・教授の大塚耕太郎氏らの司会のもと、参加者が8グループに分かれて多職種でのワークショップを行いました。自殺未遂者ケアに携わる各分野の専門家がファシリテーターを務め、摂食障害および児童の2症例について、精神科救急でのトリアージから治療方針の決定と初期対応、そして対応の振り返りとケースマネジメントの各段階における対応のポイントを学び、サポート体制の検討を含め、活発な意見交換が行われました。

今後もより充実した内容の研修を行うべく、研修の企画運営に携わる方々と議論を続けてまいります。冬頃に、第2回目の自殺未遂者ケア研修(精神科救急版)を開催予定です。

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研修会に臨む(左から)大内衆衛、森野嘉郎、清水康之(いずれもJSCP)