職員紹介

職員インタビュー 調査研究推進部 分析官 谷貝祐介:数字の裏にある、亡くなった方一人一人の人生に目を向けたい

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<プロフィール>谷貝祐介(やがい・ゆうすけ)

1993年、茨城生まれ。2014年より、早稲田大学人間科学部および同大学院にて、熟練のリズム運動を支える身体協応に関する研究に従事。博士(人間科学)。2021年より、株式会社ARISE analyticsにて、通信会社向けの施策効果検証業務に従事。因果推論や機械学習を含む幅広い分析を経験したのち、2023年12月より、JSCP分析官。






JSCPでは、いつから、どんな業務をしていますか?

谷貝)2023年12月に入職してから、先ほどお話したこどもの自殺の要因に関する分析や、妊産婦の自殺に関する分析、自殺報道に関する分析などに従事してきました。

JSCPに入職する前は、何をしていましたか?また、自殺対策にかかわるきっかけは?

谷貝)大学院の博士課程では、自殺対策とは異分野の、人の運動に関する研究・分析を行いました。プロドラマーの熟練運動を解析してリズム運動の秘訣を明らかにする研究で、2023年度に博士号を取得しました。

博士号を取るまでの間、3年間は民間の通信会社でデータアナリストとして働いた経験もあります。その会社が提供するサービスの入会者をいかに増やし、退会者をいかに抑制するかを、効果検証のアプローチで分析しました。

自分の分析スキルの基盤は、この3年間で培われたと思っています。しかし日を追うごとに、最終的なアウトカムが「お金」になるような分析にモチベーションが保てなくなっていきました。そこから、せっかく培ってきた分析スキルを、社会のために役立てる方法はないかと思うようになりました。

そんなとき、JSCPの「分析官募集」の求人を見つけました。これまで自殺対策にかかわったことがなかったので、自分にできるか不安もありましたが、「考えるよりも、まずは飛び込んでみよう」と、思い切って応募しました。

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JSCPで働いてみて、どうですか?

谷貝)自殺対策の最前線の組織であり、自分が携わった分析が公の報告書として公開されるなど、社会を変えることに直結した、あるいは変えられる可能性を秘めた組織であることを実感しています。その点が怖くもあるのですが、分析官としては大きなやりがいを感じています。

最近、SNS分析を行う機会があり、SNSへの投稿を「死にたい」「自殺」などのキーワードで検索してみると、悩みや苦しみを抱える方々の声が本当にたくさん出てきました。今の私の立場では、今すぐにこの方々に手を差し伸べることはできません。しかし、分析官として少しずつ着実にエビデンスを蓄積していくことで、事業者らを巻き込み、将来的には苦しみを抱える方々をリアルタイムで支えることができるような仕組みを作っていきたい。そう思いながら、日々の業務にあたっています。