研修・会議

「第6回 生きることの包括的支援のための基礎研修」を開催しました

2022年6月30日

JSCP地域連携推進部は令和4年3月18日(金)に、「第6回 生きることの包括的支援のための基礎研修」をオンラインで開催し、自治体の自殺対策担当者・関係者約200人が参加しました。令和3年度に6回シリーズで開催してきた連続研修の最終回であり、「自死遺族等支援の原点~遺族の声に耳を傾けて~」をテーマに、自死遺族の声を聞き、自死遺族の声に自治体がどう向き合うべきかを考えました。(次第はこちら

「遺された人への支援を充実する取り組み」は「自殺対策基本法」や「自殺総合対策大綱」にも掲げられている重要課題です。本研修ではまず、JSCP代表理事の清水康之が、「自殺対策における自死遺族等支援の枠組み」などについて説明しました。その後、「自死遺族当事者の声の紹介」として、2007年7月に開かれた「自殺を『語ることのできる死』へ ~自殺対策新時代 官民合同シンポジウム~」で当時大学生だったJSCP自死遺族等支援室長の菅沼舞が、親を自死で亡くした体験を語った動画を参加者にご視聴いただき、菅沼自身の体験や実際に寄せられた自死遺族の方々からの声などを紹介しました。

続いて、滋賀県立精神保健福祉センター所長の辻本哲士氏に、「自死遺族等支援の原点~遺族の声に耳を傾けて~」と題して、自殺対策基本法が制定される前から自死遺族等支援に関わってきた中で感じたことや、自死遺族の方々の声にどのように耳を傾け、どう向き合っていくべきか、支援者としての心構えなどについてご講演いただきました。

辻本先生_レタッチ済.png

滋賀県立精神保健福祉センター所長の辻本哲士氏


続いて、「遺族の声を反映した全国の自死遺族等支援の取り組みの紹介」では、兵庫県の丹波篠山市保健福祉部社会福祉課・森鼻清美氏に「おくやみコーナー(※)での遺族ケアリーフレット配布」、東京都の日野市健康福祉部セーフティネットコールセンター・吉岡典子氏と多摩市健康福祉部福祉総務課・関亮哉氏に「自死遺族のわかち合いの会の共同開催」、京都市こころの健康増進センター相談援助課・有原由美子氏に「くらしとこころの総合相談会~自死遺族サポーター配置~」と題し、それぞれ活動紹介をしていただきました。
 (※「おくやみコーナー」とは、市町村が、死亡手続を行うための専用の窓口を設け、亡くなった方や遺族の状況に応じて必要な手続を抽出し、申請書作成の補助、受付、関係する課への案内等を行う、ワンストップサービスを提供する窓口です。)

遺族ケアリーフレット.png丹波篠山市の「遺族ケアリーフレット」


日野市多摩市わかちあい.png

日野市、多摩市の「わかち合いの会の共同開催」の経緯を説明する資料


京都市相談会.png京都市の「くらしとこころの総合相談会」の利用者の状況

最後は、「行政は自死遺族の声にどう向き合うか」をテーマとし、辻本氏、清水、菅沼による鼎談を行いました。鼎談で辻本氏は、自死遺族等支援のあり方について、「自死遺族向けの相談会やわかち合いの会などは、参加者が増えればいいというわけではなく、いざ、ご遺族が行きたいと思った時に行ける場所があるということこそが安心感につながるのであり、全てを数値で評価すべきことではない」と指摘しました。
また、「自死遺族の方とどう接すればいいのか戸惑う」という参加者からの声に対して清水は、「一番戸惑っているのはご遺族ご本人なので、むしろ一緒に戸惑うというような姿勢を見せ続けること、辻本さんがおっしゃった『専門性でなく、誠実性』の言葉のとおり、一人の人として、誠実に、痛みを抱えた人と接する姿勢が大事」と述べました。
自死遺族の立場としても体験を語った菅沼は、「人間には回復力があり、どれだけ過酷な体験をしたとしても、その人なりの人生を再び歩んでいくことができると信じている。今回の研修を第一歩として、自死遺族の方々に対して何ができるのかを自治体の皆さんと共に考えていきたい」と話しました。

「生きることの包括的支援のための基礎研修」は、令和4年度もシリーズで実施する予定です。